島田市について
「清らかな水、澄んだ空気、豊饒な大地に育まれて150年。」
茶の理想郷・静岡県島田市が日本一のお茶どころ静岡県。
静岡はその気候・地勢などの自然環境がお茶の栽培に適し、古くから茶の名産地として知られてきました。特に安政6年(1859)の横浜開港により、お茶がわが国の主要な輸出品となり、県下各地に茶園が開かれて茶業は大きく発展を遂げました。その後、品種改良、生産の合理化などの技術革新が進み、今や静岡県はわが国の茶生産量の5割を、流通面でいえば7割近くを占めるに至っています。
私どもカネイ一言製茶が創業以来150年間のれんを守り続けてきた地、島田市はお茶どころ静岡の中心地です。
はるか南アルプスに源を発する大井川の豊かな流れ。雪を知らぬ温暖な気候。澄んだ空気と水はけのよい肥沃な土壌。こうした茶の理想郷ともいえる島田には大きく分けて2種類の銘茶があります。それが大井川上流で作られる「普通煎茶」、下流域でつくられる「深蒸し煎茶」です。
大井川上流の山間地では、朝夕の川霧が直射日光を遮るため、昔から品質の良い煎茶が栽培されていました。この地域のお茶には上品な香りと見た目の美しさといった特徴があります。一方、大井川の下流では燦々とした太陽の光を浴びて、自然の滋味豊かな茶葉が育ちます。この地域のお茶の特徴は、深蒸し製法による濃い目でまろやかな味わいです。自然の恵みによって育まれた素晴らしい二つのお茶をぜひ皆様に味わっていただきたいと思います。
自然との共存
自然との共存
「上質な土壌こそが健康な茶葉を育む。
そこからお茶づくりは始まっているのです。」
お茶づくりは自然とうまく共存すること。私たちは自然の恵みを受けているのです。毎年土づくりには何より力を注いでいます。それは土が健康で丈夫な樹を育み、厳しい環境変化に打ち勝つ事で理想的な茶葉を得られると考えるからです。有機肥料を中心とし、予防的防除、深耕作業、世界農業遺産茶草場農法(敷き草)等々、丁寧に行います。そして新芽が芽吹く頃には、茶畑が黄緑色の絨毧で敷き詰められたようになり、風が吹くと甘い香りが茶畑に立ち込め、喜びと安堵感を強く感じます。これこそが健康で良質な茶葉の証しであり、大切に育てて来た自分への褒美となるのです。
生産農家と職人
「茶葉は嘘をつかない。静かに語りかけてくるのです。」
茶葉は人間と同じです。どれ一つ同じものはありません。一目で生産農家さんがどのようにお茶を育ててきたのかが分かります。
注意深く耳を傾ける者にだけ、自分の個性を静かに語りかけてくるのです。
お茶はまさに生き物。手を掛けただけ期待に応えてくれます。
上質な茶葉は色ツヤがよく、香りや手触りでも私たち職人を魅了します。
1年に一回しか取れないやわらかく繊細な新芽はとても神秘的です。
それぞれの個性に静かに向き合えばどうやって活かしてほしいかを教えてくれるのです。
私たち職人は、同じ思いを持つ篤農家さんとともに、常にお茶を知るために努力し、お客様の心に響く最高のお茶づくりに励んでいるのです。
「お茶と対話する。自然の恵みに感謝して。」
お茶づくりは科学ではありません。自然が生み出した個性豊かな恵みを相手にする、感性に裏打ちされた文化・芸術をも含めた奥の深いものです。お茶の良しあしを判別するには長い修練で鍛え研ぎ澄まされた五感が必要です。目で色を、鼻で香気を、舌で味を、耳で音を、そして手で滑らかさを確かめるのです。しかし、本物の職人にはさらにその先があります。生き物であるお茶の訴えかけを感じ取る感性、つまり第六感を働かせなければならないのです。まさにお茶と対話をするような気持にならなければ思うようなお茶は作れません。お茶づくりに思い上がりは禁物です。お茶は自然が創ってくれるもので、私どもはそれを活かす事でお茶と繋がっていきます。本物の職人は謙虚な気持ちとお茶への情熱を忘れません。